「<名前>よ、あのトーリン殿との旅についてはあまり話さないのじゃが、冒険談を語るべき時が来たようですな。遠い昔、バーグラーのバギンズと共に山脈を旅していた時、ゴブリン町のゴブリンに捕らわれてしまいまして。永遠に続くかのような暗闇に連れて行かれ、やがてそこの中心にたどり着きました。そこで大ゴブリンと遭遇したわけです」
「われらに望みはありませんでした。ドワーフの眼でさえ役に立たないぐらい暗く、全ての希望は失われたと思われました。われらが装備していた武器の中に、はるか昔ゴブリンとの戦いに使われた武器を見つけ、大ゴブリンは怒り狂いましてな。そうなっては、われらのなけなしの希望も吹き消された思いでした。トーリン、わたしの主人でわれらのリーダーは、それでも毅然とした態度を崩さず、なんとか相手をなだめようとしましたが、大ゴブリンの怒りはおさまりませんでした。もはや絶体絶命だと思った瞬間、灰色のガンダルフが現れ、大ゴブリンを倒すとともにわれらをゴブリン町から連れ出してくれたので、われらはゴブリンの手中から逃れられたのですじゃ」
「新たな大ゴブリンの知らせを聞いて、胸に暗雲が立ちこめる思いです。もし事実なら、ゴブリンが態勢を整えて進軍し、東方の鉄の足ダインやはなれ山のドワーフ、あるいは西方のエリアドールの民に攻撃を仕掛ける前に、なんとか倒さねばなりますまい。仲間と共に王座室にいる大ゴブリンを捜し出し、その影がすべてを包み込む前に息の根を止めてほしいと思うのじゃが、引き受けてはくださらぬか?」
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